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管理組合の個人情報保護

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  最近、管理組合の個人情報保護について質問を受けることが多くなりました。国が標準管理規約で、マンション住民の区分所有者名簿、居住者名簿の整備を管理組合に求めていることもその一因でしょう。 平成29年5月に改正個人情報保護法が施行され、個人情報を取り扱う「全ての事業者」に適用されることとなりました。「権利なき社団」であるマンション管理組合もまた例外ではありません。同様にNPO法人、自治会や同窓会なども対象です。 個人情報取り扱いの基本は、 知りうる立場で得た個人の情報は、本人の承諾なしに利用したり、他人に漏らしたりしてはならない というものです。 管理組合の理事や役員は、住民の個人情報を知り得る立場で業務をしています。そして管理会社の社員や管理員も 同じ立場で仕事をしています。 さらに個人情報の漏洩や滅失に対する管理も問われます。マンションの 管理事務所や管理室は、個人情報を扱う書類が保管されており、情報満載のパソコンがあったり、住民に関するメモが掲示してある場所です。本来、関係者以外入室禁止の場所です 。管理室に元理事や自治会役員が出入りしているマンションがありましたが、これはアウトです。心して注意してください。(管理規約に「個人情報取り扱い細則」を制定しておくと良いでしょう) 居住者名簿のために個人情報を取得する場合には、その情報の利用目的をできる限り特定しなければならない(個人情報保護法第15条第1項)とされています。利用目的はあらかじめ公表しておくか、個人情報を取得する前に本人に通知する必要があります。 名簿の取得にあたっては、提出は任意であるとしたうえで、突然の事故、入院、認知症、孤独死や災害などの非常時に緊急連絡するために用いると、明確な利用目的を公表しておくと良いでしょう。        個人情報の取り扱いに関する法令に基づくルールや規定の主なポイントは以下の通りです: 個人情報の定義と利用目的の特定 「個人情報」は、生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日、個人識別符号などが含まれます。 マンション管理組合は、個人情報を取り扱う際には利用目的を特定しなければなりません。 利用目的による制限 マンション管理組合は、原則として本人の同意なしに、特定された利用目的を超えて個人情報を取り扱うことはできません。 不適正な利用の禁止 違法な行

マンション管理の未来を担う「管理計画認定制度」の重要性

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    マンション管理において、我々が注目すべき 「管理計画認定制度」 。 この制度には、様々な狙いが込められています。それぞれの意味を整理してみましょう。 ① 国土交通省の方針に沿った誘導: 管理計画認定制度は、全国の管理組合を国土交通省の意図に沿った方向に誘導することが意図されています。狙いは高いレベルで適切な管理が行われる持続可能性の高いマンションの実現です。背景には理事会運営に行き詰まるマンション管理組合への危機感があります。 ②会計の健全性: 管理費と修繕積立金の区分経理がしっかりなされていること。管理費・修繕積立金の滞納が少ないことなども条件です。 ③ 最新標準管理規約の準拠 本制度は、最新の標準管理規約の完全準拠を求めています。これを通じて将来起こり得る様々な事態への対応強化を目指しています。様々な事態とは、住民の高齢化、建物の老朽化、大規模修繕など、そして突然の災害や建替えも視野に入っています。管理規約の整備は最優先課題です。 ④ 修繕積立資金の確保 国は令和3年にマンションの修繕積立金に関するガイドラインを明示しました。必要な月次積立金の平均額を示し、下限値を上回ればいいとしていますが、決して低い数値ではありません。十分な修繕積立資金を用意することで、将来の修繕計画に備え、マンションの持続可能性を確保させるのが目的です。 ⑤ モレのない長期修繕計画の作成 同じく令和3年に改訂された国の長期修繕計画のガイドライン標準様式の完全準拠を求めています。粗末な計画で行き詰まることのないよう、モレのない修繕計画を作成させる狙いがあります。 ⑥ 機械式駐車場改修費用の準備 見落としがちな機械式駐車場の改修費用を資金計画に反映させます。 ⑦ 災害の準備 管理規約のみならず、建物の強化、防災体制や訓練等、地震や台風などの災害に対応するための整備を行います。 ⑧ 高齢化・認知症・孤独死対応の準備 組合員名簿・居住者名簿の整備を制度の認定基準に入れました。高齢化や認知症、孤独死に対する準備、空室問題の備えです。 ⑨ 周辺法への対応 宅地建物取引法や個人情報保護法、人権法など、マンション住環境を取り巻く様々な法の変化への対応も要求基準のひとつです。   全国の多くのマンションにとって、これらの基準は、とても高いハードルに見えるでしょう。 しかし、これらは管

第三者管理(マンション管理会社による)について

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管理会社による第三者管理方式は、管理組合や入居者にとってメリットがあると思いますが、デメリットも大きいと思います。   管理組合側の最大のメリットは何よりも 面倒なマンション管理をいっさいやらなくて済む 、この一点に尽きます。   特に昨今のマンション管理組合は、住民の高齢化、役員のなりて不足、組合員の無関心、建物や設備の老朽化による修繕や維持管理の仕事量の増大、それら工事の難度化、長い継続審議、長期修繕計画の立案や資金不足の問題、管理規約の改正の遅れ等々、輪番制やくじ引きで決められた新任役員にはとても手に負えない事象が多く、荷の重さと問題の多さに悩んで頭を抱えているのが実情です。 これらの管理組合にとって、管理業務の代行だけでなく、資産管理から住環境の問題まで業務執行責任がある理事会の業務や理事長(管理者)の役割まで、すべて代行してくれるという管理会社の第三者管理は、まさに天の声でしょう。  次にデメリットについて考えてみます。     (コストが掛かる) ➡今まで区分所有者同士が無償で行っていたブラインドコストが顕在化する訳ですから、当然コストは今まで以上に掛かります。お金さえ出せばやってあげるという訳です。ここが低価格なら逆に疑ってください。   (理事会がなくなる、事実上消滅する) ➡管理会社が提唱する第三者管理の多くは理事会廃止型です。つまり、組合員が参画するのは、年に1度の定期総会と臨時総会だけになります。    (無関心な組合員ばかりになる) ➡当然そうなります。情報は管理会社次第です。   (監視機能が緩む) ➡理事会が存在しないので、当然監視機能は緩みます。総会での賛否投票だけになります。唯一組合員が担当することになる監事の業務監査にも限界があります。会計監査も同様です。不正な行為があっても目が届かないこともあります。監事の責任は更に重くなります。   (解約決議が難しい) ➡解約決議のための臨時総会も組合員1 / 5の合意を取らねば招集できません。規模の大きいマンションで容易なことではありません。管理会社が個人情報を盾に連絡先の開示に協力しないことも考えられます。    (利益相反が生まれる) ➡管理会社がマンションの管理者=理事長になるということは、利益相反する管理会社と管理組合の双方の代理になると