管理規約改正を管理会社に任せてはいけない
マンションの管理規約というと、あまり気にかけない方が多いかもしれません。
しかし、管理規約はマンションの憲法とも言われ、建物とそこに暮らす居住者や区分所有者の住環境と権利を守るルールブックです。管理規約はマンションの管理運営、ひいては資産価値に大きな影響を与える大事なものです。管理規約は、管理組合が自分たちのマンションに合わせて最適化して制定するものであり、時代の変化に合わせて定期的に見直す必要があります。
では、管理規約の改正は誰がやるべきなのでしょうか?
答えは管理組合です。ところが実際は管理会社に丸投げしている、そういうところが多いのです。むしろ、当たり前のようにそれが管理会社の仕事とさえ思っている。
これ、管理会社と結ぶ管理業務委託契約のなかの理事会支援業務の拡大解釈なんです。
ふつう管理会社に管理規約の改正を任せると次のような問題が起こります。
- 管理会社と交わす管理業務委託契約に管理規約改正の項目はありません。ですから管理会社は管理組合が要請しない限り基本的に管理規約改正を提案しません。面倒だからです。管理規約が時代や法律に合わなくなっても困るのは管理組合だからです。結果的にいつまでも更新されない古い管理規約のままだったりします。
- 管理会社のフロントマンにとって管理規約は改訂は会社から評価されない仕事です。彼らは管理規約作成の専門家ではありません。そのため、できるだけ手間を省き、標準的なテンプレートを使って適当に作成することが多くなります。これが問題で、管理規約の不手際でミスリードしたり、なかには訴訟になる事象も発生しています。
- 管理会社が作成した管理規約や細則は、管理会社に有利な内容や利益誘導された内容になっている恐れがあります。例えば、修繕積立金の算定方法や修繕工事の発注方法、業者選定、共用部分の使用制限やペット飼育の可否など。管理組合がしっかりチェックできればいいのですが、なかなか難しい話です。
ちなみに、あなたのマンションの管理規約が国土交通省が示す最新の標準管理規約に準拠しているかどうか確認してみてください。下記の条項の有無でわかります。
(民泊禁止)(暴力団排除)(災害等緊急時における専有部分の立ち入り)(役員の欠格事項)(管理情報の書面提供)(専有部分の売却等を目的とする共用部分調査)
これらがすべて反映されていれば、時代に合った管理規約になっています。
でもこれをお読みになっている殆どの読者の管理組合ではほとんど未反映でしょう。
どうすれば良いのか?
国は管理会社側の資格である管理業務主任者の対極に国家資格であるマンション管理士を創設しました。マンション管理士は弁護士、行政書士、一級建築士と並ぶ士業です。管理組合側に立つ専門家です。マンション管理士に依頼するべきです。それも管理会社に勤務するマンション管理士ではなく、日本マンション管理士会連合会のマンション管理士会に所属するようなマンション管理士に任せるべきです。
マンション管理士に管理規約改正を依頼すると、次のようなメリットがあります。
- マンション管理士は、管理組合の立場でマンションの将来を考え、何度も足を運び、最適化した提案をします。管理規約の改訂は、一度にすべてやる必要はありません。段階的に進めることもできます。
- マンション管理士は、最新の標準管理規約準拠を前提に、あなたのマンション固有のの特性を反映した管理規約や細則を作成します。例えば、共用部分の利用方法や住民間のトラブル防止策など、マンションごとに異なる事情に対応できます。
- マンション管理士は、管理規約の改訂に関する説明会や総会の開催をサポートします。管理規約の改訂は総会で特別決議を要するものです。そのためには住民の理解と賛成が必要です。マンション管理士は、必要に応じて住民に分かりやすく説明し、質疑応答や意見交換を行います。
以上のように、マンション管理士に管理規約の改正を依頼することは、将来のトラブル防止や安心感につながります。専門家を使うのは金が掛かります。決して安くはありません。しかし、本来マンションの憲法とも言える管理規約の改正はマンションにとって最重要の案件です。法的要件がからむものは安易に流さず、時間をかけて決めるべきです。透明性と信頼性のある改訂プロセスを実現するためには、コストが掛かるのは当然なことです。
管理会社任せは管理組合の怠慢です。
管理規約改正は自らの手と意思で公正・公明にやるべきです。
専門家を活用して高いレベルのマンション管理を実現しましょう。
管理規約を見直してください。長らく改正なされていないならば全面改正が必要です。
国はマンション管理計画認定制度で最新の標準管理規約の準拠を要求しています。
まずはハートマンカン事務所にご相談ください。
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